合名会社・合資会社について

 

合名会社合資会社も持分会社の中の会社形態の一つです。持分会社であるため所有と経営の分離がなされていないことは、合同会社と同様です。

合名会社とは、その社員全員が直接無限責任社員であるところに特徴があります。

直接無限責任社員
直接無限責任とは、会社が負った債務について会社財産で弁済できなくなった場合に、社員の個人財産から出資の限度に関わらず弁済する責任を負うことです。したがって会社自体の財産は当然のことながら、社員個々の財産状況も会社の信用度を左右することになります。



合資会社とは、社員の一部について直接無限責任社員であり、また残部について直接有限責任社員であるところに特徴があります。

直接有限責任社員
直接有限責任とは、出資をする価額の限度で会社債権者に対して個人財産から弁済する責任のことで、会社に対し出資の履行をした場合には、その部分につき間接責任となります。合資会社も合名会社と同様、社員個々の財産状況が会社の信用度左右をすることになります。

 

尚、現代社会において合名会社や合資会社はほとんど設立されておらず、株式会社合同会社を設立される方が圧倒的に多いのが現状です。

合名会社・合資会社の定款作成

合名会社・合資会社の設立においても、社員になろうとする者が定款を作成しなければなりません。定款に記載しなければならない絶対的記載事項はそれぞれ次の通りです。

合名会社における定款の絶対的記載事項
1、目的
2、商号
3、本店の所在地
4、社員の氏名及び住所
5、社員の全員が無限責任社員である旨
6、社員の出資の目的、その価額
合資会社における定款の絶対的記載事項
1、目的
2、商号
3、本店の所在地
4、社員の氏名及び住所
5、社員の一部が無限責任社員であり、その他の社員が有限責任社員である旨
6、社員の出資の目的、その価額


合名会社・合資会社の定款は、株式会社の場合と異なり、公証人の認証は不要です。また電子定款により定款を作成することにより、定款に貼用する収入印紙代40,000円も不要となります。

  公証人の認証 貼用収入印紙
紙の定款 不要 40,000円
電子定款 不要 不要

合名会社・合資会社設立における登録免許税


申請件数1件につき60,000円

合名会社・合資会社設立についての注意点

冒頭にも記載したとおり、合名会社・合資会社についてはあまり設立されていません。その理由としてはやはり社員の責任の重さにあると考えられます。株式会社合同会社と比べると、その責任は重大なものであり、設立に関する費用は安く済む反面、その後のリスクを考えると、やはり合名会社・合資会社の設立については慎重に検討すべきでしょう。