新たに株式を発行して資本金を増額させるための登記

株式会社が新株を発行して、払い込まれた出資金を資本金や資本準備金に組み入れる手続きを募集株式の発行といいます。そして、払い込まれた金額の2分の1までであれば資本金に組み入れずに、資本準備金とすることが会社法で認められております。募集株式の発行には株主割当による方法と、株主割当以外の方法で行う第三者割当てによって行う方法があります。

株主割当

新株を会社の既存株主に対して、株主の持株数の割合に応じて割り当てる方法です。割り当てを受けた株主に申し込みや払い込みを行う義務は特になく、申し込みがなければ権利は失権することになります。資金調達が比較的確実であることや、増資の前後を通じて株主構成や持分割合に大きな変化が生じないことなどがメリットとして挙げられます

第三者割当

株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて行う増資(資金調達)方法です。第三者割当増資は、既存株主にとって、持株比率が低下する上、不公正な価格で新株発行等が実施された場合、経済的な不利益を被る恐れもあることから、発行手続きは、会社法により既存株主に配慮した形で詳細に定められています。これより、新株を「特に有利な価格」で発行する際には、株主総会でその理由を開示して特別決議を経る必要があります。

 

募集株式の発行の決議機関については、非公開会社と公開会社で異なります。

非公開会社

全ての株式につき譲渡制限規定が付されている会社のことです。非公開会社の場合、原則として株主総会の特別決議によって募集株式の発行を決定します。
※ ただし株主割当の場合は定款規定により、また第三者割当の場合は株主総会の委任決議により、取締役会(取締役会が無い場合は取締役の過半数)の決定ですることができます。

公開会社

譲渡制限規定が付されていない株式が一株でもある会社をいいます。公開会社は取締役会を設置することが会社法上義務図けられており、募集株式の発行は原則、取締役会で決定します。
※ しかし募集株式を引き受ける金額が引受人に特に有利な金額であるときは、株主総会の特別決議によって決定しなければならない場合があります。

 

平成26年会社法改正


募集株式の発行については、平成26年の会社法改正により手続きが変わった部分もあります。

支配株主の異動を伴う募集株式の発行

公開会社は原則、取締役会で発行決議をすることができます。しかし、支配株主の異動を伴う募集株式の発行については経営に関わる重大問題なので、株主の意思を問うこと必要であるとの考え方から、新たに支配株主にとなる引受人(特定引受人)の情報を株主に対して示し、総株主の議決権の10分の1以上の反対があった場合には、当該特定引受人に対しての株式の割当てについて株主総会の承認が必要となりました。

● 新たに支配株主となる者の情報開示が必要
● 総株主の議決権の10分の1以上が反対した場合には、株主総会の承認が必要

 


募集株式の発行における譲渡制限株式の総数引受契約

募集株式の割当てについて、株式が譲渡制限株式であるときは、株主総会の特別決議(取締役会設置会社においては取締役会の決議)により割当ての決議をしなければなりませんが、総数引受契約については適用されていませんでした。しかし、今般の改正により譲渡制限株式の総数引受契約については、株主総会の特別決議(取締役会設置会社においては取締役会の決議)により、契約の承認を受けなければならないものとされました。

● 株主総会の特別決議による総数引受契約の承認が必要


募集株式の発行の登記は、払込期日または払込期間の末日から2週間以内にしなければなりません。

 

司法書士報酬額


40,000円(税別)

登録免許税


増加した資本金の額×0.7%
(最低額30,000円)

必要書類一覧
・募集株式の発行についての決議書 (株主総会議事録、取締役会議事録又は取締役の決定書)※1
・株式の引受申込書又は総数引受契約書 
・払込証明書及び通帳のコピー
・資本金の計上証明書 ※2
・代表者からの委任状
  

※1
会社の機関設計や募集株式の発行形態、定款による別段の定めの有無により、募集株式の発行の決議機関や、割当てについての決議機関が異なる場合がございます。

※2
資本金の払込みの中に現物出資があるときは、別途書類が必要になる場合がございますので、一度ご相談ください。

 

実費
・事前登記簿閲覧代金
・事後謄本取得代金

※ あくまで実費ですので、謄本取得を代行したからといって、代行業務に対する報酬はいただきません。

  

ご相談・お問い合わせ

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