支払督促手続について

支払督促とは、債権者の申立てに基づいて、裁判所から債務者に対して金銭等の支払を命じる書面を送付する制度です。

相手方が任意の支払に応じない場合に、裁判所から書面が送付されることで心理的なプレッシャーを与え、支払を促す効果が期待できます。また裁判手続きを利用するよりも費用が安く済み、口頭弁論等の期日もないため、時間的・費用的にも利用しやすい手続きです。

支払督促を申立て、相手方が異議を申し立てずにいると、仮執行宣言が付されることになります。仮執行宣言付の支払督促は、これによって強制執行手続きができる書面となりますので、訴訟手続きより簡単に債務名義を得ることができます。

債務名義とは、確定判決、調停調書など強制執行を行うために必要な書面のことです

支払督促が利用できる場面


支払督促は、どんな場面でも利用できるわけではありません。
利用できるケースは次のような場合です。

金銭やその他の代替物の給付を求める場合
有価証券の引渡しを求める場合


上記以外のケースでは支払督促を利用することはできません。

支払督促を利用する場合の注意点


支払督促制度は、通常の訴訟手続きに比べて極めて簡便な手続きによって、相手方に金銭等の支払を請求することができます。しかしながら、支払督促制度を利用するデメリットも存在します。

① 比較的簡単に異議を出されてしまう

支払督促制度を利用して相手方に対して何らかの請求をしたとしても、支払督促を受けてから2週間以内に相手方が異議を申し立てた場合には、支払督促が無効となってしまいます。また異議を申し立てるのに、何ら証拠書類等は必要ありませんので、簡単に異議を申し立てることができてしまいます。

② 異議が出されると通常訴訟に移行する

支払督促に対して異議を申し立てられると、支払督促が無効になるだけではなく、通常の訴訟手続きに移行してしまいます。簡便な手続きで債権の回収を図ろうと思っていたものが、通常の訴訟手続きに移行することで費用的・時間的にも労力を費やすことになってしまいます。

③ 通常訴訟移行後の裁判の管轄が相手方住所地になる

支払督促に対して異議を申し立てられた後の通常訴訟の裁判管轄が相手方の住所地となってしまいます。相手方の住所が近隣地域であればそれほど問題ありませんが、遠方であれば、交通費だけでも負担が大きくなります。当初から訴訟を提起するのであれば、原告の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起することが可能ですが、支払督促を利用することで、かえって不利益を被ることもあります。

 

債権回収としての支払督促の有効性


相手方がとの間で、債務の存在や金額について争いがなく勝算があり、相手方が近隣に住んでいる場合には、支払督促制度を利用してもよいかもしれません。しかし上記のようなデメリットも大きいので、当初から訴訟手続きを選択したほうが、むしろ費用的にも時間的にも効率的である場合も多いです。

簡単に利用できる制度だからといって安易に行ってしまうと、後日思っていたよりも膨大な負担を負うことにもなりかねません。債権回収を図るには慎重に方策を考えていく必要があります。

司法書士報酬


30,000円(税別)

必要書類一覧
・当事者が法人の場合には法人登記事項証明書
実費
・請求額に応じて通常訴訟の場合の2分の1に相当する収入印紙額
・予納郵便切手代金

 

 

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