相続登記に必要な書類関係

相続登記のみではなく、相続に関する様々な手続きを行う上で、必要になるであろう書類についてご紹介いたします。日々の生活ではあまり見ることのない書類が多く、内容について一般的には知られていないでしょう。以下にいくつか掲げておりますので、少しでも皆様の参考になればと思います。

戸籍謄本


戸籍謄本とは、役所で管理している戸籍の原本をコピーしたもので、原本の内容がすべて記載されているものを言います。
戸籍謄本には以下の事項が記載されています。

● 両親や養父母の氏名
● 生年月日
● 戸籍筆頭者との続柄
● 出生地や届出人
● 結婚暦や離婚暦


戸籍謄本にはその戸籍に入っている全員の事項について記載されています。

戸籍謄本とは別に、戸籍抄本というものがありますが、これは戸籍に記載された一部の者について抜粋されたものになります。
相続登記の際には、戸籍謄本を収集します。

改製原戸籍


戸籍法に基づき、戸籍の様式が変更されることがあります。現在では戸籍謄本を取得すると、コンピューター化された書面が交付されますが、昔は違いました。この様式が変更される前の戸籍のことを改製原戸籍(かいせいげんこせき、かいせいはらこせき)といいます。
現在の戸籍には、様式が変更される前に生じた「死亡」「離婚」「転籍」を理由とする除籍事項は省略されて記載されていませんので、相続の際に取得する必要があります。

除籍謄本


「死亡」「結婚」「離婚」「転籍」などにより、戸籍の中に誰もいなくなった場合には、その戸籍は除籍という戸籍になります。したがって、戸籍筆頭者が死亡した場合でも、その戸籍の中にまだ在籍している人が存在すれば、それは除籍ではなく戸籍ということになります。
また住所が移転すれば勝手に転籍すると思われている方もいらっしゃいますが、住所変更をしただけでは転籍はされません。「本籍地の変更届」を出さない限りは、本籍地は変更されませんので、戸籍も同一の役所で管理されることになります。
相続の際に誰も在籍しなくなった戸籍を取得する場合には、除籍謄本を取得することになります。

戸籍の附票

住民票には、直前に住民登録していた住所や同一市区町村内の住所移転についてのみ記載されていますが、戸籍の附票には、新たに戸籍が作られてから現在までの住所の遍歴がすべて記載されています。住所が何度も変更している場合でも戸籍の附票を取得すれば、現在の住所までのつながりを確認することができます。
したがって、登記名義人住所変更登記を行う場合や、相続手続きにおいて、被相続人の住所のつながりを確認したい場合には、戸籍の附票を利用するのが便利です。

改製原附票

戸籍法に基づき、戸籍の様式が変更されるのは上記で記載しましたが、戸籍の様式が変更されるに伴い、戸籍の附票も新たに作成されます。現在の戸籍の附票には、戸籍の様式が変更されてから現在までの住所の履歴が記載されていますが、変更前の住所については記載されていません。変更前の住所の履歴が記載されたものが、改製原附票です。
戸籍の様式変更前の住所の遍歴が必要な場合には、改製原附票を取得すると便利です。

住民票の除票


今まで住民登録があった市区町村から、他の市区町村に住所を移転したり、死亡したときは、転出届や死亡届が提出されることにより住民登録が抹消されます。この住民登録が抹消された状態の住民票のことを、住民票の除票といいます。
住民票の除票には、住民票に記載されている事項のほか、死亡年月日や転出先住所と年月日が記載されています。

 

取得の際の注意点


除籍謄本の附票、改製原附票、住民票の除票の保存期間は5年間となります。したがって5年経過後に取得しようとすると、すでに廃棄されているおそれがあります。
相続登記を行う際に、以前の住所が判明しなくても登記をすることは可能ですが、手続きが増え、負担が大きくなることもあります。
除籍謄本の附票、改製原附票の記載内容は変わることはありませんから、使用する可能性を見越して、先に取得しておくのも良いかもしれません。