訴訟に勝ったとしても、相手が支払期日までにお金を支払ってくれなければ意味がありませんし、訴訟にかかった費用や時間が無駄になってしまうおそれがあります。
相手が任意に金銭の支払をしてくれない場合に、強制的に相手方の財産から支払をしてもらう手続きが強制執行手続きです。
強制執行手続きは、少額訴訟債権執行以外については、地方裁判所管轄の手続きであるため、司法書士の代理権の範囲外となり、代理人として行うことはできません。したがって、裁判所へ提出する書面の作成業務として行うことになります。
少額訴訟債権執行は、少額訴訟判決を得た簡易裁判所へ申し立てる手続きであるため、司法書士は代理人として行うことができます。少額訴訟から強制執行手続きまで、一貫して代理することができるため、お客様の負担を最大限に軽減しつつ、手続きを進めることができるので、効率よく債権回収を図ることができます。
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管轄裁判所 |
通常の強制執行手続 |
管轄権を有する地方裁判所※ |
少額訴訟債権執行手続 |
少額訴訟を行った簡易裁判所 |
※ 民事執行における裁判所の管轄は各訴訟の目的物によって異なります。不動産の強制執行であれば不動産の所在場所を管轄する地方裁判所、給与等の債権に対しての強制執行であれば債務者の所在地を管轄する地方裁判所 等
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める訴訟であり、簡易裁判所に訴えを提起します。原則1回の審理により完結する訴訟であるため、通常の訴訟手続きと比べて、費用や時間的負担がかからず行うことができます。
少額訴訟債権執行とは、少額訴訟で得た確定判決に基づいて、相手方が第三者に対して有する債権を差押える手続きをいいます。ここで言う債権とは次のようなものです。
① 相手方が雇用先に対して有する給与債権 |
② 相手方が金融機関に対して有する預貯金債権 |
① 給与債権 |
相手方が給与所得者である場合には、その給与を差押えることにより、優先的に金銭の支払を受けることができます。ただし、給与の全額を差押えることはできず、原則手取り額の4分の1までとなります。(差押え後の給与が33万円を超える場合には、超えた額について全額差押えすることができます)
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例:手取り44万円の場合
44万円×4分の1=11万円
44万円-11万円=33万円
したがって、毎月11万円が完済まで支払われることになります。
※ 手取り44万円以上の場合には、相手方には33万円が残り、そのほかは全て差押えることが可能ということになります。
給与を差押えるためには、相手方の勤務先を知っておく必要があります。働いているかどうかわからない、働いているけど勤務先がどこかわからない場合には、給与に対して強制執行することはできません。
給与債権の場合、一度差押えを行うと、請求額を満たすまで毎月継続的にお金が支払われるため、相手方が給与所得者の場合には、回収方法として効果的です。
② 預貯金債権 |
相手方の預貯金を差押えることにより行います。地方銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫等に口座があれば、その口座にある金銭に対して差押を行い、そこから支払を受けることができます。銀行口座を差押えるためには、銀行の支店名が必要になり、ゆうちょ銀行の場合には貯金事務センター名を特定する必要があります。
ゆうちょ銀行の貯金事務センターは地域ごとにあり管轄が広いため、もし預貯金口座が不明であったとしても、相手方の住所地などである程度予想することが可能ですので、一般の銀行口座より差押さえをし易いです。
銀行口座に差押さえを行ったとしても、預貯金残高がない場合には、回収することができませんので、注意が必要です。
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少額訴訟債権執行を申し立てると、債務者に対して差押処分が送達され、送達されてから1週間が経過すると、銀行や勤務先へ直接取立てすることできるようになります。銀行や勤務先などには、債権者からの取立てに応じるよう裁判所から通知が送付されますので、直接支払いの方法等を話し合い、金銭の支払を受けることになります。
少額訴訟債権執行ができる対象物は、金銭債権に限られます。給与債権、預貯金債権、賃料債権、敷金債権等について差押さえを行うことは可能ですが、不動産や動産、自動車等について強制的に競売することはできません。これらを行う場合には、地方裁判所に申し立てる通常の強制執行手続きをする必要があります。
預貯金債権を差押える場合に、相手方がこれを阻止しようと口座を空にしてしまうことも考えられます。こういったおそれがある場合には、訴訟の段階で仮差押えを申し立てることも考えなければなりません。仮差押えをする場合、裁判所に対して担保として金銭を納めなければならない場合もありますので、慎重に検討する必要があります。
必要書類一覧 |
少額訴訟についての確定判決書や和解調書 |
確定判決書の送達証明書 |
相手方が法人の場合には法人登記事項証明書 |
実費 |
収入印紙代金 |
予納郵便切手代金 |
送達証明書取得費用 |
相手方が法人である場合には登記事項証明書 |
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